海外に住む事は不便と住む事です。

なーんか長く書いちゃうな、時間があると。

イタリア語がしっかりできるわけではないので、まぁほんとおじいちゃんばりに何かを(イタリア語で)判断することが遅かったり、知らない間に騙されていたりする。いつぞやのSDAの事件や、乗ってるAudi A1を購入した時の追加保険の延長勧誘をいきなり電話してきて英語のお願いを無視してひたすらイタリア語で話してきやがる外資フォルクスワーゲンのおばちゃんとか、この国はアルファベットを使うのに、日本並に英語が通じなくて、色々困る。Amazon Primeもその内の一つで、どうやら1年間無料(トライアル)の会員らしいと気付いてから半年以上は何の恩恵も受けなかった。しかし、SDAの事件があって、Primeの無料期間を1ヶ月延長すると聞いてから、うん、やっぱりPrime会員らしいので、どうせなら映画を沢山観てやろうと妻とちょくちょく観始めてから、結局そんな策略にハマってPrime会員を続けている。

昨年末で家族で帰省して、僕だけ1月半ばにすぐにイタリアに帰って来ていて、今度の3月半ばの出張まで僕は一人です。(ビザの延長アポのせいで、一週間だけ妻が帰ってこざると得なかったけど。)まぁちらほらの誘惑はあれど*1、基本浮気に罪悪感なく積極的にするようなタイプではない、それ以上の超ものぐさが祟って、今日明日ローマ来ないかという今のバンドメンバーの方の誘いも断って*2、家でだらだらしている。そんな私は、その大半の一人の時間を録音作業に精を出しているか、Primeで何か暇潰しに観ているわけです。

特にイタリアのAmazon Primeでも、ちょびっと日本のアニメやらPrimeオリジナルドラマがあると気付いたんですよ。最初は20代の頃よろしくアニメをだらだら観ておりました。『ヲタクに恋は難しい』ってのと『舟を編む』を観ました。結果、もう20代じゃないんだと非常に実感しましたね。

まぁ観た二つが大体の話を知ってるからでしょうが、尺が長くて、ちょっと途中からだるく感じてしまいました。でもこれら以外に面白そうなのないんですよ。タイトルからしてパス。そもそもアニメを積極的に観るのって、僕はそもそも俳優とかが分からんのでついついドラマを敬遠してしまうからっていう消極的な理由です、声優とかよう分からんし。だからストーリーさえ良さそう、タイトルが萌え萌えしてなさそうだったらアニメの方を選びます。

ちなみにヲタ恋、舟を編む、二つとも原作はすごく面白いです。正直前者はアニメにするのが早すぎた、もしくはもっとアニメオリジナルの脚本があるべきだったと思います。あの笑いは同じコマや漫画のコマ割りだから面白いのであって、アニメの間が空いたテンポは、僕はどうしても好きになれなかった。それでもドキッとしたり、原作の女性二人の魅力が十分に伝わるものでした。後者は、アニメにすると何でかああいう文体のものが陳腐なモノに見えてしまって。きっと僕が穿った見方をしているせいもあります。

 

さてさて、書きたいこと書くまえの前置きが長くなりました。

なので今回ドラマを見始めましたんですが、Primeオリジナルの『東京女子図鑑』。2話目、3話目辺りからグッと引き込まれて、1日で全部観てしまいました。水川あさみを知ってるだけで見始めましたが、寧ろだからこそ楽しめたというか。

高校時代に秋田からさっさと上京したかったのに、大学を結局地元の国立大学に通って、就職から東京に来たというところとか、まさしく僕に似ていて、ほんとよく分からんまま最初に会社内の人間関係に衝撃を受けるところとかまさに(笑)

初めから三軒茶屋に住んで、その後に住処を変えてその度にこの街はこうだとか語るのは、ちょっとそれ以外に住んでいる人間に失礼やな、と思いましたが、でも恵比寿辺りで20代中盤を過ごすとか、これはウチの妻に似ていて、この辺りから自分に重ねるよりもウチの妻もこんな生活や恋愛してたんかな、という風に観ておりました。

東京ってなんか魅力あるんですよ。なんせ首都で、人口の4分の1が関東圏に住んでいると、なんかテレビで取り上げられてるし、たまに自分の地元が取り上げられているのを観ても「自分たちのものじゃない」何だかマイナーなもの扱いされたりするんですよ。だったらメジャーなもの見てみたいと思うのはすごく自然だと思う。それにドラマの主人公が言うように、当たり前のように地元で育って地元で就職して結婚するというのは、僕も本当に嫌だった。(人の人生を否定するつもりは毛頭ないです。)

僕も妻も就職で東京住まいでした。今でも便利だし、日本で拠点持つとしたら東京は第一候補に上げてます。でも、あそこを終の住処にしなくて良かったというのは同意している。少なくとも今現在の立ち位置ではそう言える。ドラマでは「上限が際限ない」とありましたが、まさしくそうで、なんかそこに存在するだけでどうしたって上下関係が出来る。

僕はさっきこの街はこうだと語るのは失礼と言ったけど、でも心の奥底には同じ事を考えているんだと思う。さすがに多摩に江戸川区に住んでました、父は荻窪生まれだし、祖母の家は戦前六本木に家がありました、なーんて並べたって、西麻布に昔からいますとか、実家は銀座の老舗です、なんていう人に劣等感抱くと思うもの。

その分、今はすごく楽で、イタリアに住んでます、なーんて言うだけで、その上下関係から外れてくれる。そもそも東京と違って、ミラノの中心地はおろかミラノ市内にお金があろうと住みたいと思わない。だってうるさいよ?泥棒のリスク増えるよ?あと、車持ってても中心地すごい混むよ?

例えば首都ローマの中心地にこないだ家を買った友人がいて、物件が億はしたっていうのと、自分の会社持ってることはすごいし憧れるけど、うん、同じ理由で全くそこに住みたいと思えない。ヴェネツィア本島に住んでる同僚もそう。出身だから週末住んでるけど、平日は不便すぎて本土に住んでいるくらい。

日本の悪口になるけど、日本はちょっと東京に一極集中し過ぎていると思う。ここヨーロッパは確かに陸続きだけど、色んな街に特色があって、何処かの都市にここまで集中している事はない。ドイツなんかは顕著な例だし、ポーランドだってワルシャワ以外にクラコフも大きいし、スイス*3、ベルギー、オランダですらここまで一極集中していない。確かにイタリアやフランスなんかはパリ、ローマが巨大な人口を抱えているけれど、それでも治安の悪化等で人々はそれぞれの地元にいることを選ぶ。日本は東京ですらまだ安全なのもあるから、一極集中する大きなデメリットの一つがなくて、さらに人を集めさせている。気付いている人は気付いているのに、残念ながら民主主義というマジョリティーがモノを言う世界だから、東京は変わりようもないとは思う。

ちなみにミラノに住んでますっていうとすごいって思われるけど、それもまた違うんですよ。そこに目標を置いて大金持ちになったんならすごいと思うけど、人生の選択をしていったらたまたまイタリアに住むチャンスがあったというだけ。決して僕の実力がすごいわけじゃなくて、寧ろ運があったとは思う。あとちなみに実際はミラノ郊外じゃなくてモンツァ市住まいで、まぁそれでもミラノ市内より好んでこの場所に住んでるんだけど。

ちょっと話をドラマ関係に戻すと、でも唯一言えるのは、僕が自分で決めたっていうこと。言っちゃ悪いけど、ドラマの主人公は年齢や住処や彼氏が変わる度に価値観がどんどん変わっていった。自分が求めているものはこの幸せじゃない、ここで安泰してはいけない、とステップアップするのはすごいけれど、結婚観が特にブレブレだった。僕らは、妻は海外に住み続けたいという点、僕は自分の意志がしっかりしてる人と結婚したかった点、それを芯に持っていたので、今幸せだし、僕らは今後も結婚生活を続けていくと思う。子どもも出来たし、少なくともドラマの主人公みたいにすぐ離婚しない。

でもその代償は、この面倒臭い、不便なイタリア生活ということだ。英語にしてくれというお願いを無視してイタリア語でひたすら保険の売り込みする外資フォルクスワーゲンのおばちゃんとか、英語可ですというコールセンターに電話してもイタリア語オンリーの担当者が出てくるSDAとか、よく分からないままタッチしたら勝手にPrime会員にしやがったAmazon Italiaとか、そういう話です。

ようやく話がまとまった。前提に戻ったので、今日はここまで。

*1:何をモテ男ぶってるんだか。

*2:妻に内緒で行く予定でしたが、諸事情で行かず。

*3:おっと「ヨーロッパ」ではなかった。